現場業務でVDI環境にTeamsを導入しようとしたところ、キャッシュの出力先が移動ユーザープロファイルの領域内に出力されず、Temas起動時に都度データを取得してしまい、NW帯域を逼迫させるという問題があった。
解決策を調べていたところ、プロファイル管理方法について移動ユーザープロファイルの他にも、「Citrix Profile management」や「Fslogix」というものがあることがわかった。
どちらも名前しか聞いたことがなかったので、備忘として特徴についてまとめていく。
移動ユーザープロファイル
移動ユーザープロファイルは、ユーザがPCにログオンする際にファイルサーバなどに
保存されているプロファイルを「C:¥users」配下にダウンロードして、ログアウト時には
更新されたプロファイルをファイルサーバに書き戻すという動きをする。
これにより、VDI環境のどのPCにログオンしても同じ環境でPCを利用することができるようになる。
ログアウト時にPC側に存在しているプロファイルは削除されるのではなく、
再度ログオンしたタイミングでプロファイルを書き換える動きをする。
欠点としては2つあり、NW経由でプロファイルをダウンロードするので、容量が大きいと
その分ログオン完了まで時間がかかる。
もうひとつはAppData¥Local配下にデータが保存されるアプリはデータが保持されない仕組みに
なっているため、ログオンの度にリセットされる仕様になっている。
例.Teams、Outlook、Chromeなど
対策としてフォルダリダイレクトという仕組みがある。
ポリシーで指定したフォルダについてはログオン時にダウンロードをせず、更新した際に
直接ファイルサーバ上のプロファイルに書き込みを行うという仕組み。
フォルダリダイレクトは、他のプロファイル管理方式でも利用可能。
データ保持に関しては、データが格納されるフォルダにシンボリックリンクを貼ってデータを
保持できるフォルダに無理やり保存する方法がある。
FSLogix
FSlogixは、移動ユーザープロファイルと違いファイルサーバ上に仮想ディスクとして
プロファイルを管理している。
ログオン時には仮想ディスクを端末でマウントすることで、端末のローカルへのプロファイルの
コピーや書き込みが発生せず、移動ユーザープロファイルよりもIO負荷が軽くなるため、
ログオン時の遅延も少なくなる。
移動ユーザープロファイルでは保持の対象外だったLocalやLocal Lowフォルダも保持されるため、
Teamsを含むOffice製品などのアプリケーションのデータも保持されて利便性が向上している。
フォルダリダイレクトは移動ユーザープロファイルと同じく利用することが可能。
移動ユーザープロファイルには存在しない機能が数多く存在していて、Office製品ごとに
ユーザーデータを保管する「Office container」やアプリの表示・非表示を制御する
「Application Masking」、プロファイルの保存領域を冗長化する「Cloud Cache」などがある。
Citrix Profile management
Citrix社が提供しているプロファイル管理方式で、Citrix製品を使う際に最も高いパフォーマンスが
出せるようになっている。
移動ユーザープロファイルと同じく、ログオン時にファイルサーバーからプロファイルを
取得してくるようになっている。
しかし、移動ユーザープロファイルがプロファイル全体を取得する仕組みであるのに対して、
CitrixProfile managementでは必要な部分のみを取得するため、移動ユーザープロファイルと
比較してログオン時間が減少する。
まとめ
プロファイル管理技術についてまとめてそれぞれの方法のメリットとデメリットは以下だと考える。
移動ユーザープロファイルのメリットとデメリット
- ⭕️ Windowsの機能なので、追加で導入をする必要がないため導入が簡単
- ❌ 一部フォルダが保持の対象外であるため、運用を考えるのが大変
- ❌ 他の方法に比べてログオン時間が長い
FSLogixのメリットとデメリット
- ⭕️ 仮想PCのローカルにプロファイルをダウンロードしないので、ログオン時間を
減らすことができる - ⭕️ 移動ユーザープロファイルでは保持対象外のLocal、LocalLowフォルダも保持対象の
ため、アプリケーションのデータも保持できる - ❌ 追加のアプリケーションを入れるなど、導入が少し面倒
Citrix Profile managementのメリットとデメリット
- ⭕️ Citrix製品を使う場合はパフォーマンスが最も優れている
- ⭕️ 必要最低限のデータのみ取得するため、ログオンにかかる時間が減少する。
- ❌ Citrix製品以外を使う場合はパフォーマンスが良くない(そもそも導入できなさそう)
個人的には新規でVDI環境を構築する場合はFSLogixを使う方法が、実際のユーザ利用も考えると
一番良い方法であるように感じた。
FSLogixでできることは他にもありそうなので、時間があるときに調べて見ようと思う。